いっしょ。下








転院というからには,今の病院ではもう手出しが出来ないということだろう。
「手術・・・ですよね?」
恐る恐る尋ねると,そうねと沈んだ答えが返ってきた。
小学生なんかに分かることなんてたかがしれている。 そんな自身にアスランは自分の無知さに苛立ちを覚えた。
「何が原因で,入院していたんですか?」
今更かも知れないが,キラのことなら何でも知っておきたかった。
「あぁ,未だ話していなかったわね。心臓に欠陥があるの」
キラの母は悲しそうに笑った。
「きっとね,何となく予感していたの。私か,生まれてくる子どもにきっと心臓が悪いんだろうな,って思ってたんだけどね。
 人間ドッグなんかで調べてても,何も出てこないからおかしいなって思っていたんだけど・・・・。
 たまにね,息が苦しいって言うの。それで,嫌な予感がして,検査を受けさせたらやっぱり,なのよ」
初めて聞く話に,アスランは息を呑む。
「手術をしないと,死んでしまうんですか・・・・・・?」
聞きたくはなかったが,なんだか聞いておかないといけないような気がして。
「・・・・・・・なんて言うのかしら。 死ぬって訳じゃないの。
 でもいつ心臓が止まってしまうか分からないから,朝昼夜に薬を飲まないといけないの。
 その薬を飲まないと,キラにとって心臓が苦しくなってしまうのよ。 つまり,薬が手放せない人間になっちゃうわけなの」
重い話に,アスランは唯,唇をかみ締めることしか出来ない。
「アスラン君,悲しまないで。 別に手術も心配ないものだと思うし・・・・・・」
そう言いながらも,その声音は弱々しい。
「ちゃんとこの家は残しておくから。ちゃんと戻ってくるわ」

キラの体が良くなるのなら,自分が泣いて迷惑をかける訳にはいかない。
引き止めたいとか,さびしいという気持ちを幼いながらにアスランは抑えた。

再び,元気になったキラに会えることを願って。









「キラ・・・・・・」
「どうしたのさ,アスラン」
朝日をベッドで浴びながら,アスランは隣に眠るキラを見つめた。
「あの時,本当に心配したんだからな・・・・」
夢をみた。
キラと離れなければならなかったときのこと。 キラの手術を受けないといけないときのこと。
キラの心臓に耳を当てると,静かに鼓動を打つ音が聞こえてくる。
あの後,キラの母から聞いた話なのだが,本当は手術の成功の確率は半分だったという。
今から考えれば,とても恐ろしい話だったのだと思うと,今でも冷や汗が出てくる。
「あの時・・・・・・・?」
これだけ心配し,夢にも見るくらいなのに,キラにとっては思い出せないような話になっているようだ。
「俺,これからもずっとキラのこと大切にするから」
「どうしたの,急に。僕もアスランだけが大切だよ?」
失いたくない。
この腕の中にいる,大切な大切な人間を。
ホワイトディにあんなケーキをくれる,拗ねてもやっぱり許してくれる,キラが。
あれから,一緒に住むなんて,考えられなかった。
あの時は,本当にキラはちゃんと生きて返ってくるか,心配で。
キラの,誰も居ない家を見ては,ため息をついていた自分が,なんだか懐かしい。
アスランは,静かにキラと接吻を交わした。
甘い甘い味がした。









アスラン,ぼくがかえってきても,友達でいてくれる?
あたりまえだよ,俺とキラはいつでもいっしょなんだから。
うん!ぼくね,アスランのおよめさんになるから!すきな女の子なんて出来ちゃったらだめだからね!!
分かってるさ。キラもちゃんと元気になれよ!
うん!!









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