ざ------------



激しい雨の音。
目の前は白っぽく、道の先は見えない。
大粒の雨が地面を打ちつけ、跳ね返る飛沫が
人々の足を濡らしていく。




そんな町の一角に人影が2つ。

どちらも傘をささず、水分を含む髪の毛と衣服が重々しい。




黒い背広に赤いネクタイを身に纏う男性が胸ポケットに
手を伸ばし、何か黒光りするものを取り出した。
しきりに   カチャカチャ   鳴る。
カチャカチャならすその手は、男にしては細く長い手。

そして、もう一人居るのがもう一人よりは線の細い男。
男を呼ぶ線の細い男の声は高くなく、低くなく、
だが人を引き付ける声。

「アスランっ」
激しい雨の中も 相手の耳を振るわせる。





男性、アスランは自分の名を呼ぶ主を
冷たく見下ろしていた。

翡翠色の瞳は、雨の所為なのか何時も以上に冷酷で
今にも人を殺め兼ねない殺意を秘めている。
濃紺の髪は、雨の所為で大量の水分を含み
翡翠色の冷酷な瞳を目立たせていた。

「近づくなと言っているだろう。
 死ねとは言わない。その姿を俺に見せるな」

冷たい声。
氷のような刃。

近づいた男性の名を呼ぶ線の細い男、キラを蹴り倒し
黒光りする銃を構えた。
セーフティーは外されている。




黒い革靴で蹴られたキラの腹部は止まることなく
血が衣服に滲んでいった。
其れに、大粒の雨が更に滲み、血痕はじわじわと
広がっていく。




キラは決して、痛みを口にしなかった。

アメジスト色の瞳は雨の所為か濡れている。
直毛の栗色の髪は多量の水分を含み、
垂れた雫が、垂れた滴が頬に弧を描く。
そこに描かれているのは
雨なのか、はたまた涙なのか。
そんな事は、分からない。



再び  カチャカチャ  と音がした。









雨は止まる事なく、
地面をたたきつけている。









叩き付ける雨の音は、全ての音を
掻き消すかのように聞こえる。







バーン バーン バーン





男はSP。








赤い花が刹那に咲いた。







自分に銃弾を放った主が、この場を去るのを
朦朧とキラは感じていた。

うっすらと目を開ければ、
目の中に大きな雨粒が入り、咄嗟に目を閉じる。
倒れている自分の体を起こそうすれば
体中に痛みが駆け抜けた。

トク トク

自分の体内の血が体中から出て行くのが感じられる。

冷たい雨を感じながら
キラは意識を手放した。





それから、キラは生死を三日間彷徨った。








薄荷キャンディの全ての無断転載を固く禁じます。
All text on this web stie are copyright(C)2007- Peparmintcandy yurikaoru