大切なこと。

第1話*互い



やっと通じ合ったこころに,ふたりに,邪魔するものなど何もなかった。


長い期間,とは言えないが,仲よい親友から進歩したのに,少々の時間を要した。
男同士で。
世間的に,非難されがちで。
それでも,互いが必要だと感じたから,親友という枠を越えた。



「アスラァ・・・・・ッ」
長いキスの間に,呼吸をすると同時に相手の愛しい名前を言葉にのせる。
何故か,甘くかんじるのはどうしてだろうか?

アスランの舌が,キラの唇の中に侵食する。
至る所をなめ回す。口内で触れていないところなど何処にもないように。
アスランにとって,こんなに愛しいひとと愛し合えるなんて夢にも見なかったことだった。
いつも,熱い視線を向けるにも周りの目を気にしてしまい,こういう関係に至るのにはやはり一寸ばかりの戸惑いがあったのだ。
恋をするにも,何をするにも大切なことは,それがきっかけで,それをとおして,しあわせになるということだろ,アスランは思う。
しあわせに感じないのに,楽しく感じないのに,一体それがどうなるというのだろうか?
それが大きな迷いのひとつだった。
キラは,自分が好きになることで,自分と恋人という関係になることで,しあわせだと感じてくれるか。
それが,嬉しいと感じてもらえるか。
そんなことを慎重に考えていた筈なのだが,現実では酒に飲まされたときにどうやら言ってしまったらしい。
「キラのことが好きだ」と。
キラ本人,それはとても嬉しい言葉だと言ってくれた。
そうなってくれたらいい,とキラも言っていた。
だから,恋人という枠に進んだのだ。
絶対に,たいせつにしたい。キラが,この関係に嫌だということがないように。

長い拘束の末,アスランはキラの唇を離した。
奪われている途中は息苦しかったが,いざアスランの唇が離れるとなにか物寂しい気持ちにとらわれる。
恥ずかしい気持ちはあったが,どうしてもその気持ちに勝つことが出来なくて,自分から相手の唇にそれを寄せる。
何の技巧も持たないキラに出来るのは,啄ばむだけのキス。
それを繰り返していると,アスランが舌を絡めてきた。
「物欲しそうな顔してる・・・・そんなに欲しかった?」
塞がれた唇では,言葉を返すことは出来なくて,キラは必死にこくこくと頷く。
そんなキラに,アスランは嬉しそうに笑った。
そんな優しい笑みを見て,やはり自分はアスランがスキなのだと,キラは思う。
長い期間親友であったという事実は,妙にキラを臆病にさせた。
ふしだらな気持ちをアスランに告げてしまえば,自分はアスランに嫌われてしまいそうで。
そして,親友という位置も失ってしまいそうで。
それなら。現実に甘んじて親友でいいかと思ってしまっていたのだ。
それが,急にスキだと告げられて。
キラにとって,幸せの他ない。
嬉しくて,嬉しくて。
だから,自分もアスランのために,出来るだけ何かしたいと思う。
嬉しいものを,言葉にしきれない位もらったし,今も貰い続けている。


何にもかえがたい大切な愛しいひと。


「っ,やぁ・・・・触らない,で・・・・・・」
直に触れてきたアスランの手をキラは払おうとするが,全くそれは出来ていない。
「だってキラ,もう濡れてる」
先走りの液が鈴口から垂れているのを,アスランは指先で遊んだ。
あまりに直接的な悪戯に,キラは戦慄いた。
「ひぁ・・・っぅ・・・・・・・」
触られていると,絶頂を迎えそうなのだが,しかしそこには未だ最後の刺激が足りない。
いっぱいに広がった欲望は,限界を迎えていた。
「アスラ・・・・・・・・・もうダ,メ」
来るしまぎれに告げると,アスランはくすっと笑って,キラの欲望の根元から扱いた。
「ひぃあ・・・・・・だ・・・め・・・・・・でちゃ・・・・・・・・」
途切れ途切れに告げた言葉をアスランは無視し,手の中で扱き続ける。
そして,キラはその中で弾けた。
「あぁぁ―・・・・・・・・・・・」
勢いよく弾けたが,しかし未だ硬度を持っている。
それを,アスランはつるりと自分の口内に含んだ。
「っ・・・・・あ,アスラン・・・・・汚い,よ」
「キラはどこもかしこも綺麗だよ」
告げられると,キラは何も言うことが出来なくなってしまう。
そうして,再び欲望をアスランの中で弾けさせ,アスランはキラのなかで爆発させることとなる。

甘い夜はまだまだ続く。





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