大切なこと。

第7話*相手対自分U





ゆっくりと,自分の感情に探りを入れてみる。
どう返事をしたらいいのか。
暫くの時間を要した後,アスランは顔を上げてくださいと呟いた。



「貴方の気持ちはよく分かりました。
 この縁談は俺達の中で駄目になってしまったということにしましょう」
言うと,嬉しそうなビアータの声が返ってきた。
「本当ですか?」
「ええ。 でも,貴方のご両親にも私の両親にも内密にお願いしたい」
「分かりました。 本当にありがとうございます!!」
もう一度丁寧に頭を下げるビアータの姿は,本当にありがたそうだった。
「でも,この縁談が駄目になったところで,次の縁談をご両親が用意するのでは?」
「ええ,そうかもしれません。毎度毎度頼むことも出来ませんし・・・・・・」
暫く沈黙がおちた。
「貴方の家,会社を経営されていますよね?」
「ええ」
「きっとご両親の会社に勤めて欲しいというのが,願いなんでしょうね。
 だからといって,婿が会社員でないといけないとは思いません。
 教授の方をご両親に紹介してもいいと思いますよ。
 教授を取締役という役職にはつけないでしょうが,ご両親にとってのお孫さんが継がれるという方法もありますから。
 社会的な地位もはっきりしていますし,きっと認められると思います」
これはひとつの案ですが,貴方のお役にたてるのでは?と尋ねると,そうかもしれません,と彼女は神妙に頷いた。
「私からも,尋ねてもいいですか?」
「ええ。」
「アスランさんには・・・・・・」
「さん,は付けなくてもいいですよ」
「あ,すみません。
 アスランに恋人はいらっしゃらないんですか?
 あなたのような整った顔と,その頭脳を持っているなら,結婚を約束されている方はいそうに思うのですが・・・・・・」
不思議そうに尋ねる彼女に,どう答えようかアスランは考えた。
「人生と共にしたいと思ったひとは今も昔もたったひとりのひとですね。
 けれど,その方に先日振られてしまったんです・・・・・・」
誤魔化すように,アスランは笑った。












自分の家に帰りながら,アスランは考え事に深けていた。
―――どうすれば,あんなにも潔くなれるのだろう・・・・・・
ビアータの,はっきりとした物言いに,本当に驚いた。
今回のお見合いのことは,教授の方にも話してあるらしい。
―――どうしたら,そんなにも強くなれる?
自分は,キラに何を言うことも出来なかった。
何を言ってやることも出来なかった。
それ故,今回のビアータの話を聞いて,彼を苦しめてしまったということがアスランの胸の中で大きく占めることになった。
また,ビアータの話を聞いて,自分の中の悔いのようなものが生まれ,今回の話について頷いてしまった。
―――・・・・・・。












今回のお見合いによって,考えることが、アスランの中で何かが大きく動いていく。











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