Better Helf


第11話*出来ること

頑張るとは決めても,やはりまだ臆病なこころは,キラの胸の中い居座った。





自分から電話をするにはやはり未だ嫌で,かわりにラクスに頼んだ。



「こちらは特に指定はないですが」
――すみません。謝罪には社長を向かわせる予定なのですが・・・・・・明後日は如何でしょうか?
「はい,大丈夫です」
――では,午前中にはお宅を尋ねさせて頂きたいと思いますが,よろしいでしょうか?
「はい」



家にはラクスが常に居てくれている。
本当に感謝しきれない位,いろいろなことをしてもらっている。
女優さんをしているのだから,本当はこんなことをさせてはいけないのだろうが,ラクスが自分から役を買ってくれているのだから,本当に申し訳なかった。
植物人間になっていたときと比べれば,それはもう物凄く良くなっているのだが,それでも本調子とはいかなかった。
出来るだけ悲しくならないように,と心がけているが,やはり考えてしまう。
あの,大切だったひととのたったひとりの子どもだったのに・・・・
シヴァさえもこの世にたったひとりの愛しい存在であるし,同じ子どもがもう一度生まれているなんて考えられない。
ましてや,そのいのちを分けてくれたひとは,もう自分のことなんてすっかり忘れているに違いない。
もう。過去の汚点,とでも思われているのだろうか。
それでも,悲しくなりはしても決して涙は見せないようにしている。
ちゃんと約束は守りたいと思う。



朝早くに鳴るベルの音に,キラは吃驚してしまった。
――まだ,こころの準備が出来てないよ・・・・・・
これを乗り越えないことには何も変わらないのは分かっている。
それでも,まだ踏ん切りはつかなかった。
あからさまな反応をしたキラを見計らってラクスが玄関へと向かった。
「どちら様ですか?」
扉を開けると,全く予想しない人間が立っていた。
「キラはどう?」
茶色い髪を肩から跳ねさせているミリィが,そこに笑って立っていた。
「今日なんでしょ,謝罪に来るの? 心配だから来ちゃった」
流石何年もキラの親友をやっていただけである。
キラのことは何でもお見通し,なのだろう。
「きっと,キラも少し安心しますわ。 ・・・・・・・今日は頑張ってもらわないと」

友人たちが出来るのは,たったひとつ。
キラを見守ること。
キラ自身を受け止めること。
それを分かっているふたりは,ただ静かに笑っていた。



















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