Better Helf


第8話*願いU

ママ、大好きっ。
ママって笑うと、すごい可愛いね。





お囃子が鳴り響く中,二人の親子はしっかりと手を握って歩いていた。



「そんなことがあったのですか・・・」
ラクスに,シヴァの父のことに関する出来事を話すと,彼女は感慨深げに言った。
「なんていうか・・・・・・必死に励まそうとするあたりがとても健気ですわ。キラに似たのでしょうか?」
何を言うのかと思い,気を張ったが,まったくおちゃらけた言葉にキラも苦笑してしまう。
「でも,本当に可愛いんだね,子どもって・・・」
「それはそんでしょう?やはりお腹を痛めて産んだ子でしょう?可愛くて当たり前なのでは?」
言われてみればそうだ。
可愛いという感情以外の何も,キラの心の中にはない。
「可愛いのは可愛いんだけどね・・・時々手に余る・・・・」
「それはそうですわ。可愛いだけでないのは仕方のないことです。そこを躾けるのが親の役目ですわ」
「・・・・・・なんだろうね・・・・母さん達,苦労しただろうなぁ・・・・・・・」
自分はきっと,シヴァよりもおべんちゃらな子どもだっただろうから,とても手間のかかる子どもだったはずだ。
それでも。
「僕が母さんや父さんに愛してもらったように,僕もシヴァを愛したいよ」
特に,自分のことを精一杯喜ばせようといろいろなことをしてくれているのだ。
「では,約束したお祭りをふたりで楽しんで来てくださいな」



「何か欲しいものはないの?」
人手で賑わう中,シヴァと握った手を大切にしながら尋ねた。が。
「欲しくないよ」

浴衣も着せてあげたかったのに,シヴァは欲しくない,という。
その代わりというか,とっておきの服を着せはしたが。
キラとしては,不本意だった。
自分を励ますために誘ってくれたシヴァに,せめてものありがとうという気持ちで,浴衣を着せてあげたかったのに。
しかし。
嫌だと言ったのに,無理やり強制する気はキラにはない。
しかたないと自分で言い聞かせ,家を後にした。

長い道のりを歩いているが,何一つとして欲しいとは言わない。
キラが聞いても,欲しくないよとの言うだけ。
それも笑って言うのだから,どうしたらいいのか,キラの方が分からなかった。
とうとう,長い道のりの出店を終えてしまった。
欲しいとは一言もいわず,楽しそうだねとか,面白そうだと幼い子どもが言うとは考えられないような言葉しか言わず。
「一休みしようか?」
いくら何でも,もうそろそろ歩きつかれたはずだろうと思い,近くにあったベンチに座るように促す。
うんっとうなずくと一緒に並んで腰掛けた。
「みんな幸せそうだね」
シヴァは何でもないように話すが,キラにとっては考えられなかった。
自分が幼い頃は,出店に置かれているもの全てが,きらびやかに写った。
欲しかったし,買って欲しかった。
それなのに。
「疲れたでしょ?何か買ってくるから待ってて」
せめてひとつ位,買ってやりたいと強く思う。
別にいいよというシヴァの言葉を押し切って,キラはベンチをたった。
「シヴァはここで待ってて」



目に入ったりんご飴をふたつ買い,約束したベンチに戻ったが,居るはずのシヴァがいなかった。
「どういうこと・・・・・・?」
あまりに吃驚してしまい,キラは手に持っていたそれを落としてしまう。
しかし,そんなことは関係なかった。
―――どこに行った・・・・・・?
もと来た道をを走りながら,小柄な娘を思い出す。
言葉や考えが年相応ではなかったから待たせておいても大丈夫だと思っていたのが駄目だったのだろうか。
―――一緒に連れて行けばよかった・・・・・・
今更悔やんでも仕方ないのだが,悔やんでも悔やんでも悔やみきれない。
何に変えても大切で,失いたくないのに。
「シヴァ,シヴァ・・・・・・・・・」
思わず,口にしてしまう。
この言葉聞いてシヴァが返事をしてくれればいいと,願いを込めて。

しかし,そんな願いも束の間。

たまたま耳に入ったクラクションの音に反応したキラが見たものは・・・・・。





「シヴァー!!!!!!」















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