愛しさの対象、それは俺の彼女。

3章 熟れた果実  5





「うあっ……んんっ……。」
アスランの指が自分の中でぐるぐると掻きまわる。
はじめは違和感を感じていたけれど、ずっと弄られていると違和感よりも、ことばには出来ないようなむずがゆい感覚が生まれてくる。
一本だった指も、今は二本になり、しかもそのふたつがばらばらに動くのだから、もうキラにとって、ただ事ではなかった。
「……ひんっ……あっ。」
漏れる嬌声が恥ずかしくて、思わず自分の口に手を当てると、その手をやわやわと外される。
じっと自分の身体を見つめるアスランの視線もとても恥ずかしいけれど、今の行為はもっと恥ずかしい。
「キラの声聞きたいから、ね。大丈夫、キラはきれいだよ。」
アスランは何度もそう言うけれど、恥ずかしさは拭えない。
胸元を少し寛げただけのアスランの格好は、ずるいと思うけれど、未知の感覚に翻弄されていて、そんなことを口に出す余裕は、キラにはちっとも残っていなかった。
「んんあっ、……ああっ……アスラ、……。」
呼びかけると、どうした?という目を彼は向けた。
「なに、か、でちゃいそう、なの。」
話すキラに合わせてか、キラの中を自由に動き回っていたその指が静かになる。
アスランはキラの話を聞いて、そう、と答えるとそのまま再び、指を動かし始めた。
「ふあっ……んやあっ……ねえ、でちゃ、う……。」
そう言うけれど、アスランは大丈夫というだけで、その指の動きは益々ひどくなっていく。
奥の方から押し迫ってくる感じはだんだんと近づいて、そしてそれはアスランの指がキラの中を大きく動いた後に、水音が響いた。
「あ、ああっ……。」
何かとても恥ずかしいことをしているようで、思わず自分の顔を両手で隠す。
はあ、はあと、息切れのような吐息を吐きながら、しかし下から何かが漏れた感覚がして、気が気でなかった。
「ごめん、なさい……僕、何した……?」
排泄とは違うけれども、その感覚はそれにとても似ていた。
それが一体何なのか分からなくて、しかしそれは恥ずかしいことなのだとアスランに謝ると、彼は自分の顔を覗き込んだ。
「キラは何も悪いことしてないよ。」
だから、その顔を見せて、と言う。
逆らう気には全くなれなくて、そっと自分の手を顔から離すと、アスランはこちらをみて優しく笑っていた。
「これは、キラが気持ちよくなった証拠。だから何も悪くない。男のひとが射精するのと似た感覚だ。」
「そう、なの……。」
「だから、これはキラが俺の指で気持ちよくなってくれたってこと。俺は嬉しいよ。」
そう言って、漏れたその透明の液が絡んだ指を、アスランは自らの口で含んだ。
「あ……汚いよ、アスラン……。」
その自身の指を舐める姿はとても色っぽかったけれど、それよりも、自分が出した汚いものを食べないで、という気持ちが強く動く。
「汚なくないさ。キラのものはみんなおいしい。」
真面目な顔をしてそういうのだから、キラにはもう何も言えなかった。
これも愛してもらっている証拠なのだろうか。
では、次は自分がアスランを愛してあげる番だ。
「あの……アスラン、しても、いいよ……?」
こんなことを自分から言うのはとても恥ずかしくて、彼の顔を直視出来なかったけれど、はっきりと言葉にすることは出来た。
もう、顔から火が出そうなくらいに、アスランの顔を見ることが出来ず、横を向いていたけれど、アスランがびっくりしているだろう感じは伝わってくる。
それから、アスランは自分の身体を抱きしめた。
「嬉しい、キラ……。出来るだけ痛くないようにするから。……本当に嬉しい、ありがとう。」
そうやって、何度も自分の名前を読んでくれるアスランは、本当に喜んでくれているのかなと、思考回路が働かなくなった頭でぼんやりと思う。
アスランに気持ちよくなってもらいたい、アスランをもっとすきになりたい、愛したい、アスランも自分のことをすきになってもらいたい、もっとすきになってもらたい。
そんな単純で、しかしキラの中にずっと内在する、その捕まえておけそうで、捕まえ続けることの難しい、目に見えないきもちだけが、キラを突き動かしていた。
静かにアスランはキラの身体を話すと、手早く自身の衣服と下着を取り除く。
それから、ゆっくりとキラの身体に覆いかぶさる形になった。
「痛かったら、ちゃんと言って。出来るだけ、キラに痛い思いをさせたくないから。」
そう言って、アスランは自身にスキンをかぶせ、そしてジェル塗り、またキラの秘めたそこにも丹念に塗りこむ。
いよいよ、とアスランはキラの秘めやかに閉じられたそこに自身を宛がった。
「あつ、い……。」
「うん。キラとしてたら、勝手にこんな風になったんだ……入れるよ。」
言って、キラの腰に手をやり、そして、もう片方の手は不安そうにシーツを掻く彼女の手を握る。
少し先端を入れると、やはりキラの中は、とても狭かった。
「…うんっ……ああっ……。」
自分が狭いと思っているように、キラもアスランの自身の大きさに辛いものを感じているだろう。
痛い、とは言葉にしないけれど、顔はどちらかと言えば苦渋に歪んでいるように見える。
大きさと、きっと生まれているであろう、指とは違う違和感になれてもらうために、アスランはしばらくそのままでいることにした。
「キラ……痛くない?」
きっと気休めにしかならないだろう。
彼女はきっと、痛いと言わないだろうなという、そんな予感があった。
「うん、だいじょう、ぶ……何か、ゆびより……おっきい……。」
キラの髪を梳いてやると、彼女は気持ち良さそうに目を閉じた。
「すごく、熱い……。」
少し落ち着いたらしく、それを見計らって、再びキラの中に自身を推し進める。
握ったキラの手が、ひどく強く握られて、それが彼女のやり過ごす波のようにも思えた。
「ひあ・・・・・・ああっん…・・・。」
あれほど、キラが気持ちよくなるまでとかしたつもりだったけれど、彼女の中はひどく狭い。
「キラ、もっと、息吐いて……。」
「……う、ん……ああっ、アスラ……ひうっ……。」
ゆっくりゆっくり推し進めて、ようやく真ん中ほどまで、キラの中に入ることが出来た。
もう、辛いところは入り終わったから、後はもう大分楽になるはずだ。
ここからの部分に時間を掛けるのは反対に辛いだろうと思い、ずっ、と最後まで入れると、キラの身体が跳ねた。
「んんっ、やっ……。」
キラの中のあたたかさが、まるで自分を迎え入れてくれているようで、とても気持ちいい。
張り付いた粘膜が、まるで自分を離すまいとしているようだ。
質量感にも慣れてもらうために、アスランは再びそのまま動かずに、キラの至る所を撫でて、落ち着くまで待つことにした。
「大丈夫……キラ?しばらくこのままで、いるから。ふふっ、キラの中、凄く、熱くて、俺を締め付けてる……分かる?」
「あ、のね……アス、ランが、しゃべると、……すごく中が、響くの、……くすぐった、い。」
そう言って、痛いだろうに、ふんわりとキラは笑う。
愛しい。愛しい。
こんなにも、こころが、恋焦がれている。
もっと愛したい。もっともっと、キラを知り尽くして、全ての場所に自分の所有する彼女なのだとマークを付けたい。
痛い、と一言も言わずに、その辛い波に耐えるキラが、愛しい。
可愛い。
表情に少し笑みが生まれたことから、アスランはキラの中で少しずつ動き出した。
「動くよ……キラ。」
少しずつ少しずつ自分の身体を前後に揺らす。
突然に、はきっと辛いだろうから、ほんの少しの距離をゆらりゆらりと往復するのだ。
「ひっん……あんっ……ふあっ、や……。」
狭い筒の中は締め付けがひどく、しかしそれがとても気持ちよい。
キラのはじめてなのだから、絶対に無理をさせないように、痛みを覚えてもらわないように、とセーブをしながら、ゆっくりゆっくりと心掛けていたはずだが、キラの中の熱さとその締め付けに、アスランはじわじわと我を忘れていく。
ゆらりゆらりとしていたものが、次第にスピードが上がっていく。
ぎりぎりまで自身を引き抜き、そして際奥に打ちつける。
そうすると締め付けがさらに酷くなり、アスランのそれはいつになく速いスピードで極みに達しようとしていた。
「……んんっ、うっ、ああ……んんっ……あっ……。」
「キラ、愛して、る……絶対に、離さない……俺の、キラ……。」
乱れる姿も、とても美しい。
絶対に離したくない、離さない。
こんなにも可愛くて、健気な恋人を離してなるものか。
「っううん、……ぼく、も……ひいあっ、ああ……。」
再びキラは放ってしまったようだ。
ぐんと、最奥が下がり、愛液が繋がったところから滴る。
しかし、滴らずに、アスランのものに絡みついたものは、更なる潤滑剤となり、卑猥な音を生んでいた。
「んっ……キラっ……。」
しばらくアスランも抽挿を繰り返していたが、再びキラがいってしまったことで、中の締め付けが酷くなったことと、今まで我慢していた熱の波を乗り過ごすことが出来ず、ゴムの中で彼も弾けた。



それから、幸福の波に飲まれてしまうことは簡単だったけれど、そうすると明日の処理が大変なことと、このまま乱れたままキラを寝かすのは忍びなく、アスランはすっかり気を失ってしまった彼女をゆっくり、そして静かに布団の上に横たえると、、簡単に下着とパンツを身につけ、部屋風呂の湯を落とした。
こちらにも温泉が引かれているらしく、いつもの湯とは違う、特有の匂いがバスタブに溜まっていく。
それを見届けたあと、再びアスランはキラの元へ戻ると、彼女の出した体液のとジェルを、濡らしたタオルでふき取る。
やはり、シーツには赤い染みがあり、それはつまりキラに痛みがあったというを確信させるものでもあった。
ついつい、調子に乗ってしまい、最後の方は全くキラのことを考えることが出来なかった。
それくらいに、気持ちよかったというのもあるし、身体の相性もずっといいのかも知れない。
肌の白い上に散っている赤い跡は、アスランが付けたものだ。
まるで所有の印とても言うように、胸周りから下部に向けて、たくさん散っているのを見て、きっと明日、キラは驚くだろうなあと、しあわせな気持ちになる。
旅行の前日からいろいろと思い悩むところがキラにはあったようで、アスランにはどう対応すればベストなのか分からなかったが、結局原点に返れば、キラがすきだという想いから全てが動く。
すきだから、愛しているから、もっと親密な関係になりたいし、愛し合いたい。
そういう欲求の元にこういう行為になった訳であるけれど、本当にキラも自分と同じ思いで居てくれているのか、行為の最初の方は分からなかった。
しかし、自分を受け入れてもいいよ、というやわらかな声は、キラも同じ思いて居てくれていたのだ、と確信する材料となり、アスランのこころに歓喜を呼んだのは、間違いない。
自分にとって、今日のこの行為はキラとの距離が今までよりさらに近づくものになったと思うけれど、キラはどう思っているのだろうか。
そんなしあわせな考えをこころに浮かばせながら、そろそろ良いくらいの湯が溜まっただろうと、キラの身体を横抱きにし、風呂場の方へと運ぶ。
湯船に静かに浸けた後、自分も衣服を脱ぎ、同じようにバスタブに身を落とした。
自分の上に座るかたちで寝ているキラの表情は、穏やかだ。
その唇に静かにキスを落とし、アスランはキラの身体をぎゅっと抱きしめた。
「絶対に手放さないよ、キラ。ずっと一緒だ。」
外の景色に目をやると、白いものが見える。
曇った窓の水分を手で払い、目を凝らすと、どうやら、外は雪が降っているらしかった。
明日はクリスマス。
白い雪の降るホワイトクリスマスに、きっと明日もキラと一緒にしあわせな日が送れるように、とアスランは願ったのだった。



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