窓際を見ながら聞くきみの声

この想いが、きみに優しく伝わるといいけれど






「あの……付き合ってください……っ!」
勢いだけではないだろう、そこにはひどく沢山の勇気が隠されているのを、僕は知っている。
差し出される、封筒。
けれど、これを僕は受け取れない。
申し訳ないと、思うけれど。
「ごめんね、きみの気持ちは嬉しいよ。けれど、これは受け取れない。」
ちゃんと、差し出された気持ちは受け取るけれど、それに対しては応えられない。
こうして差し出される、女の子の精一杯の気持ちを、僕は知っている。
だって、僕だって、片思い中だから。

「アスラン!」
クラブが終わったのか、少し汗のにおいを交えながら、アスランは自教室に帰ってきた。
剣道部に所属しているアスランは、未だはかま姿のままだ。
「ああ、キラ。どうしたんだ?」
「んーとね、アスラン待ってた。」
「じゃあ、一緒に帰るか?」
授業が終わってからクラブ活動は開始され、剣道は終わる時間がかなり遅い。
今ももう、七時前を指している。
「……ラクスはいいの?」
アスランと一緒に帰ることを狙って、この時間まで待っていたのだが、了解を貰えれば、それはそれで何となく落ち着かない。
「ああ、彼女は今日は先に帰ったんだ。用事があるとかで。」
「……そっか。それじゃ、一緒に帰ろ?」
クラブに所属していないキラにとって、アスランをこっそりと見ることも出来ない時間はひどく長いものに感じられるが、それでも彼のことを想えば、こころがあたたかくなる。
一緒に、彼の隣に居れれば、もっとうれしくなる。
僕はアスランがすきだ。
友達とか、そんなものではなく、もっともっと一緒に居て、楽しい時間を共有したい。
けれど、僕達は男同士だし、しかもアスランにはラクスという彼女がいる。
僕は友達という位置でしかない。
だけど、告白して、振られて、友達という位置でさえ居られなくなることを思えば、この友人という位置でいいと思えた。
だけど、想いは後から後から溢れてくる。
着替えているアスランからみえる、筋肉の張った背中に、うなじ。
薄っすらと汗に濡れたようなそこは、ひどく色っぽい。
あの逞しい、腕に抱かれたなら、もう自分は消えてもいい。
彼に、大切に想ってもらえるなら、もう自分なんてどうなってもいいと思う。
すきだ。
だけど、告白なんて出来っこない。
アスランは決して男の趣味なんてないだろうし、それに彼女だっている。
学校一可愛くて美人といわれる、ラクスという彼女がいる。
僕は、友人。
「アスラン。」
名前を呼んで見た。
舌の上に乗った、そのことばは、ひどく滑らかに零れてくる。
何度胸の中で、その言葉を繰り返したことか。
「どうしたんだ、キラ?もうちょっとで片付けが終わるから、待ってくれないか。」
「……ばか。」
きっと、君は僕の気持ちに気付かないだろう。
アスランのばか。





I borrowed title from "strano". Thank you .

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